薬剤師の臨床的役割の拡大は、薬剤師という職業の活性化、新規採用、患者の利便性の向上につながる
薬局は、多くの状況で臨床現場から切り離され、十分な情報を得たうえで行う意思決定に必要な重要な健康データも入手できていません。これは、アウトカムの向上を妨げ、薬剤師の燃え尽き症候群の一因となっています。燃え尽き症候群に対処しなければ、業務効率の低下、患者サービスの遅延、高い離職率、ミスの増加に急速につながり、患者の安全を深刻に脅かします。2022年のデータ調査では、8カ国で11,000人を超える薬剤師のうち過半数が燃え尽き症候群を経験していました。
薬局スタッフの燃え尽き症候群は、複数の根本原因を有する多面的な問題です。関連するリスク要因の一部を以下に示します。
- 過剰な業務量
- 偏ったワークライフバランス
- 患者数と処方箋数の増加
- 経験不足
このような要因は、それぞれ異なるように見えますが、医療リーダーは、医療エコシステム全体で健康データを共有し、意思決定支援を改善する機会を特定すれば、このすべてに対応できます。すなわち、薬剤師の知識をワークフローに統合して、組織間の連携を図り、患者の安全をサポートし、医療従事者と患者の両方のウェルネスに貢献する仕組みを構築するのです。
薬剤師を医療チームの柱として位置づけて燃え尽き症候群に対処し、戦略的メリットを活用する
薬局を医療提供に組み込むことは、効率化の鍵となり、燃え尽き症候群を軽減しつつ患者アウトカムを改善できるようになります。医療リーダーは、他の医療従事者が薬局以外の状況で使用している教育コンテンツリソースやカスタマイズ可能なワークフローを薬剤師が利用できるようにすることで、薬局の可能性を引き出せます。この目標に向けた有意義な進展の基盤として、3つの戦略的意思決定を行う必要があります。
教育コンテンツと情報アクセスを優先
教育コンテンツは、薬剤師の業務効率を飛躍的に向上させます。薬剤師は、治療を担当する医師と連携し、患者との一貫したコミュニケーションの中心としての薬局の基盤を強化するために、最新の教育コンテンツに即時アクセスする必要があります。薬剤師の情報アクセスを強化する意思決定支援技術は不可欠です。このような技術は、処方箋がどこで調剤されているか、スタッフが服薬遵守(アドヒアランス)と安全性をどのように促進しているかなど、薬剤師の意識向上を支援します。
連携したワークフローで安全性を支援
患者の安全のためには、医療チーム全体で一貫したワークフローが必要です。患者の服薬遵守をサポートし、有害事象を減らし、再入院を最小限に抑えるために、薬剤師は診療環境全体で統一されたワークフローを必要としています。薬局チームにこのようなツールが備わると、リーダーは投薬過誤のリスク軽減、安全性の向上、業務の効率化が可能になります。
UpToDateのようなソフトウェアは、クリニカルパスの搭載と現代の薬局での可能性により、特に際立っています。このようなインタラクティブなガイドは、医療従事者が臨床上の疑問に対して、十分な情報を得たうえで効率的な意思決定を行うのに役立ちます。すでにスタッフの燃え尽き症候群や非効率性に苦労している薬剤師にとって、このような標準化は、作業負荷と不要な作業を減らす上で非常に有用です。
必要なツールをあらゆる関係者に
薬剤師は、最も信頼される医療従事者の上位に常にランクインしています。他の医療従事者が、共通の教育コンテンツや意思決定ツールでつながると、薬剤師の信頼を活用できます。
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