ヘルス06 5月, 2022

健康に関する誤情報を防ぐ:医学図書館員のデータと知見を活用

健康に関する誤情報は、新型コロナウイルスの流行前から既に増加傾向にあります。しかし、健康に関する誤情報は、患者だけの問題ではありません。医療従事者にも注意を喚起すべきであり、エビデンスが時代遅れかどうかの判断や出典のチェックに助けが必要な時もあります。

アメリカ医学図書館協会(MLA)にとって、医療従事者や医療の専門家と協力して医学エビデンスの厳しい評価を促すことは、信用できる研究の使用を推進し、医療従事者に信頼性の高い情報源や研究ツールを紹介するという会員の日々の努力と密接に関連している、とコミュニティ・エンゲージメントのシニアマネージャーであるトミー・ガン氏は説明します。

2021年全米医学図書館員月間(NMLM)のテーマとして「健康に関する誤情報の防止」を提案した会員が複数いたガン氏は述べています。これは、2022年度年次大会の準備を進める中でも、引き続き関心を集めているとのことです。

「年次大会やNMLMのキャンペーンには、健康科学情報の専門家がその価値と専門知識を所属機関や地域社会に普及させるのを促し、支援してほしいという期待があります」と、ガン氏は説明します。「このような機会向けに、医学図書館員のスキルや図書館のリソースに対する認識を促すテーマや資料が作成されます。」

MLAでは、そのような目的に使用するインフォグラフィックやポスターを会員に提供し、健康科学図書館のサービスの価値を宣伝するだけでなく、医療従事者が図書館員と協力して意思決定を行えば、医療アウトカムに大きな影響をもたらせると伝えています。主なキャンペーンポスターは、「この学術誌は信頼できるか?」「自分の研究は再現可能か?」「自分が引用した情報源が撤回された場合はどうすればよいか?」などをチェックしてから情報源を信用することを医療従事者に促すロードマップです。


図書館員のサービスが意思決定に影響を及ぼす

MLAの「健康に関する誤情報の防止」キャンペーンは、図書館員が臨床意思決定に与えてきた影響に関する研究や調査の結果に主な焦点を当てています。

118施設の病院の医療従事者を対象としたある研究の結果:

  • 95%: 図書館員のおかげで、十分な情報を得てよりよい臨床意思決定ができた
  • 45%: 図書館員のサービスにより、ベストプラクティスや最新エビデンスに基づいて介入を行えた
  • 39%: 図書館員のサービスが医療の質にプラスの影響を与えた

別の調査でも、図書館員に教わった情報スキルに基づいて治療を変更したと回答者の88%が報告しています。


医学図書館員の役割

MLAのキャリアセンターによると、臨床リソースマネージャーや健康科学図書館員など、他の数多くの職種名でも呼ばれる医学図書館員は、以下をはじめとする重要なサービスで医療チームに貢献しているとのことです。

  • 緊急時に即時求められる要求に応える
  • 研究や学術論文のリサーチや文献レビューを補助する
  • 電子リソース、統合意思決定支援ツール、リファレンス資料を管理する
  • 患者が母語で利用できる教育的な健康情報を紹介する
  • さまざまな分野で医学情報スペシャリストやアドバイザーを務める
  • ライセンス供与や著作権の専門家としての役割を担う
  • 患者の安全を擁護する

医療機関が質の高い情報サービスを活用すれば、アウトカムを全体的に改善しながら、病院コストの削減や入院期間の短縮を実現できます。

エビデンスに基づいた臨床意思決定支援は、信頼性の高い研究やベストプラクティスを利用するのに役立ちます。その詳細を是非ご覧ください。

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