2025年7月、私は東京で行われた「持続可能な医療体制の構築に向けて:改革と財政的圧力の中での高品質な医療の実現」と題する弊社主催医療経営者向けセミナーに参加する機会に恵まれました。会場では、病院経営者、政策立案者、そしてイノベーターが集い、日本の医療の未来に関する活発な議論が交わされました。その対話は非常に示唆に富み、日本の医療システムが大きなプレッシャーに直面する一方で、同時に大きな可能性を秘めていることを改めて実感するものでした。
課題:ひずみが広がる医療システム
日本の医療システムには、現在、構造的・人口動態的・財政的という複数の圧力が同時に押し寄せています。高齢者人口がピークに達し、医療従事者が急減するとされる、いわゆる「2040年問題」は、もはや遠い将来の懸念ではなく、すでに今日の政策や医療現場の実践に影響を与えています。
- 人口構造の変化:85歳以上の高齢患者が医療の中心となり、急性期医療から慢性疾患管理や在宅医療へのシフトが求められています。
- 医療人材の不足:夜勤や救急医療の人員確保が年々困難になり、医療従事者の燃え尽き症候群(バーンアウト)も深刻化しています。
- 財政の不安定化:病院の約70%が赤字経営となり、地域単位での統合や機能再編が進みつつあります。
- デジタル化の遅れ:FAXや紙カルテが依然として使われる一方で、AI導入は診療報酬制度や導入コストによって制約を受けています。
- 知識の分断:臨床情報への一貫したアクセスが提供されておらず、相互運用性の不足が、医療連携やケアの効率化を妨げています。
これらの課題は、インフレ、サプライチェーンの不安定化、医療技術の進歩に追いつく難しさといった、より広範な社会的課題によって、さらに複雑化しています。